宮沢賢治
雨にも負けず 風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けず
丈夫な身体を持ち
欲はなく決して瞋(いか)らず
いつも静かに笑っている
一日に玄米四合と味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを自分を勘定に入れずに
よく見聞(みき)きし分かり そして忘れず
野原の松の林の蔭(かげ)の
小さな萱葺(かやぶき)きの小屋にいて
東に病気の子供あれば
行って看病(かんびょう)してやり
西に疲れた母あれば
行ってその稲の束を負い
南に死にそうな人あれば
行って怖(こわ)がらなくてもいいと言い
北に喧嘩(けんか)や訴訟(そしょう)があれば
つまらないからやめろと言い
日照りのときは涙を流し
寒さの夏はおろおろ歩き
皆にデクノボーと呼ばれ
ほめられもせず 苦にもされず
そういうものに 私はなりたい
雪にも夏の暑さにも負けず
丈夫な身体を持ち
欲はなく決して瞋(いか)らず
いつも静かに笑っている
一日に玄米四合と味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを自分を勘定に入れずに
よく見聞(みき)きし分かり そして忘れず
野原の松の林の蔭(かげ)の
小さな萱葺(かやぶき)きの小屋にいて
東に病気の子供あれば
行って看病(かんびょう)してやり
西に疲れた母あれば
行ってその稲の束を負い
南に死にそうな人あれば
行って怖(こわ)がらなくてもいいと言い
北に喧嘩(けんか)や訴訟(そしょう)があれば
つまらないからやめろと言い
日照りのときは涙を流し
寒さの夏はおろおろ歩き
皆にデクノボーと呼ばれ
ほめられもせず 苦にもされず
そういうものに 私はなりたい
by hidetatu32jp
| 2006-10-01 16:33
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